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今回は越前市にIターンした智恵さんからお話を伺いました。

現在の仕事に就くまでのことを教えて下さい。

広島県広島市で生まれ育ち、大学進学のため上京しました。大学〜大学院では土木を専門に勉強し、そこで学んだプログラミングが面白くて東京のシステム会社に就職しました。

システムエンジニアというとすごく忙しそうなイメージがありますが、その会社で出産・育児を経験されたのですか?

はい。男性の世界だったので、終電帰りも多くて忙しかったです。でも、妊娠した時には、相談したら19時には帰宅できるようになったし、育休後は、時短・在宅勤務もさせてもらえました。グループ関係も含めると1万人規模の会社だったので、システム系の会社にしてはしっかり環境が整っていてすごく働きやすかったです。一生働くつもりでいました。東京で夫と2人で子育てするというのは気が楽でしたが、子どもの面倒を見てくれる人がいないので大変な時もありました。次の日は絶対仕事を休めないという日に子どもが熱を出したと保育園から呼び出されて、子どものおでこに手をあてて「熱下がれ〜 下がれ〜」と祈った思い出があります(笑)。

旦那さんの故郷である福井に戻ってきたタイミングはいつだったんでしょう。

妊娠中にマンションを買っていたし、夫は「15〜20年後には福井に帰るかもしれないけど、その頃には環境もガラリと変わっているだろうし、また考えよう」と話していました。ところが、子どもが生まれると同時に、夫が福井に帰りたいと言い出したので、驚きました。その時はいったん話は流れていたんですが、夫に福井で仕事をする話が持ち上がり、それがきっかけで移住しました。ちなみに……家は4世帯です。義父の母も80代後半ですが元気です。義弟は今も東京にいるんですが、福井に帰ってきて、みんなで同居したら楽しいだろうなと思います(笑)。

現在どのようなお仕事をしているのか教えてください。

今の会社の社長と夫が知り合いで、システム系の仕事ができる人を探していたのでそちらに転職しました。基本は、管理業務がメインですが、WEB上での売上や広告管理、仕入れにも行きますし、社員の面談や給料管理もしています。

以前のお仕事の内容について教えて下さい。

前職は2つですね。東京で働いていたシステム会社は規模が大きく、組織で働く感覚を学べました。その後、福井県内で就職活動をして、食品を扱っている会社に入社しました。20人くらいの会社で、経営者の近くで働く場合、どのような流れで仕事を進めたらよいのかを学ぶことができました。これまでの経験を踏まえて、今の会社で目指すべきことを考え、形にしてきました。役割分担や組織図もなかったので、東京の会社での感覚を思い出して新たに作っています。会社の根幹に関わることは新鮮でやりがいを感じます。

居住先として越前市を選んだ決め手があれば教えて下さい。

決め手というか……夫の実家という点でもう決定ですよね(笑)。子どもにとっても良い環境だろうし、私自身がガマンして福井で同居するんじゃなく、「福井に帰りたい!」って思えるようになれば、みんなが幸せになれるんだ、と考え方を切り替えられたことです。そんなきっかけをくれたのは『ネコの目で見守る子育て』という本と出会ったことですね。福井県は学習もスポーツも力を入れているということをこの本で知ることが出来て、福井に帰る前向きな気持ちを後押ししてくれました。

Iターンするにあたって、不安はありませんでしたか。

生活のイメージが全然わきませんでした。両親が「北陸は天気が悪いし、初めての居住先なので精神的に弱ったりしないか……」と心配していたと後で聞きました。福井に移住してきた最初の年に豪雪を経験しましたが、「大変だけど、雪もこんなもんか〜」と思いました。広島の実家も山を切り開いた住宅地だったので、福井に比べたら少ないですが、雪も降りますからね。でも、冬はすぐに天気が悪くなってしまうから、天気予報を見なくなりましたね。仕事面については、30歳だったので正社員として転職するのは最後のチャンスかなと思っていました。

実際に移住してみて、以前と印象が変わった点があれば教えて下さい。

野菜を下さったりなど、近所付き合いがあるのはいいなと思います。近所の方が子どもを「その地区の孫」のように可愛がってくれていて、安心感もあります。他には、野菜に土がついていることに驚きました。初めて野菜をちゃんと触った気持ちになりました。当たり前のことなのに、東京にいると気づかなかったことが多いです。

子育て面において、越前市と以前住んでいた東京で違う点があれば教えて下さい。

待機児童ゼロなので保育園にすぐ入れるところ、周りのお母さんの年齢が東京と比べて若いところです。また、自転車に乗らなくていいのが楽です。東京は雨の日が大変でしたし、ベビーカーを押しての駅の階段の上り下りや、満員電車に乗ることがないのも楽です。あとは、公園に行っても子どもがいない気がします。東京に子どもが多くいたのは、公園しか走り回れる場所がないからでしょうか。また、東京では歩いて行ける範囲に児童館が3か所くらいありました。福井は保育園に入る前は集まりが少なくて、友達が作りにくいと思いました。子どもがスポ少などに通い出してから、ママ友が増えたように思います。

今後取り組んでいきたいことや、夢を教えて下さい。

地元の雑誌や自治体から経験談を話す依頼を受けるようになり、個人で発信する機会が増えたと思います。また、女性だけの消防団に入ったり、スポーツ推進員になったりと、地域の活動にも積極的に参加しています。そういった経験から、越前市に何か貢献できたらいいと思うようになりました。自分が 発信することで、Uターンしようと思う人が少しでも増えたらいいなと思います。

インタビュアー:牧野裕一

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谷川智恵さんはIターン、夫の耕平さんはUターンで越前市に移住しました。
お二人とも市内で忙しく仕事をしながらも、家庭のことや地域の活動など、積極的に活動しています。
Hello,Echizen!(2016年4月発行)「IJUセンパイ インタビュー」収録記事
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